引地川勉強会
〜川は人をつなぎ、人は川をつなぐ〜

平成16年7月10日(土)
県立かながわ女性センター

(報告:五味事務局)


※お断り このページに掲載されているスライドに関してましては各団体の著作物です。従いまして転載公開はお断りします。ご了承下さい。

藤沢市片瀬、江ノ島のヨットハーバーの近くに「県立かながわ女性センター」があります。今日は、引地川流域で活動する団体と、講師の方を招き、「引地川勉強会」が開催され、事務局が出席しました。
大和駅からロマンスカーに乗り、片瀬江ノ島駅へ、梅雨とはいえ今年は連日の猛暑で海にも大勢の観光客が押しかけていると思いきや、久々の梅雨空のためかそれほど多くはありませんでした。
江ノ島大橋を渡り、かながわ女性センターへ。
引地川勉強会
ロマンスカーに乗って
片瀬江ノ島駅に到着

引地川勉強会
江ノ島大橋から江ノ島方面
天候のせいか、観光客はまばら

引地川勉強会
海岸にはゴミが打ち上げられていました
引地川勉強会
神奈川県立かながわ女性センター


「川と海の環境を守る会」岩片さんを司会として、
各グループからの活動報告を行いました。

◆(大和市)引地川かわくだり実行委員会 代表 飯塚 栄子さん

イラスト画像を使用したプロジェクタで紙芝居風に会の紹介、活動報告。
「引地川かわくだり」は今年で15回目(15年目)を迎えた。
引地川は昔は農作や生活の場として活躍していたが、流域の都市化が進み、やがて川はコンクリートで固められ、下水やゴミの流れるた排水路に変わり、「汚い川」になってしまったそうです。
そこで、綺麗な里川を取り戻そうと15年前に発足、流域の清掃や管理、水質検査を行い、行政との折衝で平成5(1993)年に上流域(現在の「ふれあい広場」)の三面コンクリート護岸を剥がし、多自然型護岸を実現することに成功しました。
今年も7月18日に行われる15回目の「引地川かわくだり」、15年目の節目もあって各団体や市民が集まり、若宮橋からふれあい広場までかわのぼりを行います。
当会も日頃から大変お世話になっている会です。
引地川勉強会
イラスト画像をプロジェクタに映して説明
引地川勉強会
イラストを映しての説明。綺麗なイラストでした

◆(大和市)引地川水とみどりの会 事務局 五味 尚生(当会)

別途配布した資料を基に、私が説明を行いました。
当会の発足目的、発足日を始めとして、活動の状況、引き上げたゴミの種類、重量等を説明しました。
今後の問題点として、コイヘルペスウィルス(KHV)による人間・環境への影響、ゴミ清掃以外の活動予定等を報告しました。
スライド使えばわかりやすかったかなぁ、と反省しております。

◆(大和市)引地川・下福田子どもの水辺協議会 冨田 喜典さん

Powerpoint形式のファイルをプロジェクタに映しての説明
平成15年度に行われたワークショップ報告、「水辺の楽校(がっこう)」設立に関しての説明が行われました。
子どもたちが、さらに引地川に親しめる様々な工夫を取り入れています。これには脱帽...
引地川勉強会
前年度開催されたワークショップの報告
引地川勉強会
4項目を中心にした活動内容
引地川勉強会
「水辺の楽校」設立の流れ
引地川勉強会
水辺協議会構成チャート

◆(大和市)柳とあそぼう引地川実行委員会
◆(藤沢市)川と海の環境を守る会

ふれあい広場周辺の自然護岸は、護岸の流出を防ぐために、柳が植えられています。「柳とあそぼう引地川」は毎年数回、引地川上流部「ふれあい広場」を活動拠点として、自然護岸に植えられた柳の剪定を始め、雑草の除去、子どもたちも参加しての魚類観察、柳の挿し木を使って新たに柳を植樹する活動を行っています。
「川と海の環境を守る会」は、藤沢市を拠点として、河口や海岸の清掃を始め、魚類・水質調査、また廃材を利用したいかだを作り、引地川下流部を下る「いかだ下り」という大変ユニークなイベントも行われています。
今回は、県内のとある高校で作成されたビデオを放映し、活動報告が行われました。このビデオ、プロの放送局が作ったのかな、と思うくらい良くできていました。感動。
引地川勉強会
ビデオを放映しての説明
わかりにくい画像ですみません


休憩時間

休憩時間の後、講演会が開催されました。

講演1.
●神奈川における河川整備・総合治水・環境施設整備について
講師/春日 茂氏(河川専門家)
引地川に限らず、都市河川は、防災上における非常に重要な役割を担っています。
集中豪雨や台風などの気象災害において、水害による被害を防ぐために「河川改修」は重要な要素の一つです。
近年は気象条件や陸地の舗装化が進み、短時間に数十ミリを超える集中豪雨が多く、川の氾濫、土地の浸水防止に川床を掘り下げたり、遊水池、地下放水路などの構造や効果について講演がありました。
引地川勉強会
河川評論家 春日茂さんの説明
引地川勉強会
県内の河川状況
引地川勉強会
全国河川の勾配度調査
相模川の勾配がきついことが判る

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時間雨量50ミリでも対応できない
河川も県内に多い

引地川勉強会
必要な整備水準グラフ。引地川は現在45ミリ
引地川勉強会
最近は短時間に集中的に雨が降る気象が多い
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河川回収方法をスライドで説明
引地川勉強会
境川遊水池の治水効果
引地川勉強会
河川が整備途上のため、2mの雨水管出口を1.2mに絞っている画像
引地川勉強会
将来は、水防情報システムの導入も検討

講演2.
●引地川における生息魚類と最近の動き(コイヘルペス問題)、生き物にやさしい魚道について
講師/勝呂尚之氏(神奈川県水産総合研究所内水面試験場)
引地川に生息している魚類をスライドを交えて紹介されました。
そのほか、問題のコイヘルペス(KHV)発生状況と検査方法。KHVウィルスの正しい認識について。また最後には魚道についての種類、説明をスライドで説明。
引地川勉強会
魚類の説明をする勝呂氏
引地川勉強会
最近の砂防ダム設置方法
大きい岩だけを流さず、生き物や砂は下流に流れるような構造

引地川勉強会
コイヘルペス発生のルーツ
数年でこない数カ所に広がっている

引地川勉強会
県内のコイヘルペス発生状況
引地川勉強会
今年5月までのヘイ死コイ回収尾数
引地川は348尾

引地川勉強会
コイヘルペスの診断方法の説明
引地川勉強会
コイヘルペスについての対策
引地川勉強会
コイヘルペスの対処とポイント
人間には感染しない。
発生エリアのコイは持ち出さない(まん延防止)


特別講演
●引地川に戻ってきた「鮎」
講師/有賀正義氏(藤沢市議・海と市民のつながりを考える会「Beach Access Fujisawa」代表)
川が汚染されていては海も汚染される。逆に川が綺麗になれば、美しい海も蘇ってきます。
2003年7月27日、「川と海の環境を守る会」と共に引地川中流部にて投網等による生息魚類を調査したところ、鮎を始めオイカワ、アブラハヤ含め11種類の魚類とモクズガニが捕獲されたとの報告。
その後9月に行った調査では、20cm以上の鮎も捕獲されたそうです。
有賀氏は「引地川が『里川』のモデルとなり、他の川に波及させることにより、きれいでみんなに愛される湘南の海の実現に向け1歩1歩前進すると考えています」とのことでした。

現在上流まで鮎が遡上するには、途中にある数カ所の堰を改修しなければなりませんが、今後堰の改修時には「魚道」の設置を県行政に働きかけて行きたい、また引地川支流では水質改善が遅れていることなども今後の課題となっています。
早く私たちの住む「草柳」で鮎を見てみたいです。
引地川勉強会
調査風景(2003.7.27)
大庭遊水池付近

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採取された「引地川の鮎」
体長:約13cm

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オイカワ
体長:約12cm

引地川勉強会
辻堂の水の色
2003.1.1撮影

引地川勉強会
引地川水系・石川堰の稼働時画像
油圧式ゲートで水をせき止める方式のため、川魚が遡上できない
(この下流域までは鮎の遡上が確認されているそうです)

引地川勉強会
近年改良した境川水系・俣野堰
(ゴムを膨張させてせき止める方式)
ここには手前に魚道が設置されている

引地川勉強会
俣野堰に設置された魚の遡上口(下流側)
堰を迂回して魚が遡上できるように工夫されている

引地川勉強会
俣野堰・魚道上流口
(水は向こう側から手前に流れている)


最後に
今回、勉強会と講演会に出席させて頂き、各団体の活動目的や内容が把握でき、また河川整備状況や魚類生息の話まで、ほとんど持ち合わせの知識がない私には大変な勉強になりました。
今後わたくしたちの活動として十二分に活用させて頂き、また他の団体とのコミュニケーションを広げていくのに良い機会だと思いました。

この後、交流会があったのですが、他の会議が入っており、皆様と十分にお話ができなかったのが残念。
後ろ髪を引かれる思いで、江ノ島を後にしました。

後日「タウンニュース藤沢版」に今回行われた勉強会の記事が掲載されたようですが、残念ながらエリア外(;_;)
そういえば、取材スタッフが同席されていました。
忘れておりましたが、その他引地川に縁のある方々やNPOの方々もお見えになっておりました。皆様ご苦労様でした。
(おわり)