引地川の概要

引地川は、神奈川県大和市上草柳(かみそうやぎ)水源地を起点として、大和市・綾瀬市・藤沢市内を流れ、途中蓼川(たてかわ)・不動川・一色川・小糸川と合流し終点を相模湾とする全長約21.1kmの中小河川です。
起点より4.46kmの部分が準用河川として大和市管理区間、河口までの残りの区間が二級河川として神奈川県の管理となっています。

引地川地図(1)

起点大和市上草柳水源地
終点相模湾(藤沢市)
延長21.1km(全長)
(うち4.46km準用河川区間)
流域面積67km2(全流域)
(うち11.8km2準用河川区間)
※大和市管理区間とは、起点の上草柳水源地から主要地方道丸子茅ヶ崎線までの準用河川区間を示しています

「引地川」の由来

引地川の名前の由来は様々の説がありますが、その一つとして、「土地が川の流れによって押し出される」 という意味があると云われています。
この川がかつてよく洪水や氾濫を起こし、土地をけずるように流れていたことが想像されます。
昔から川の周辺には人が集まり田畑を耕し集落ができます。
その住民はそれぞれの地区を流れる川に名前をつけていました。引地川でも同様に長後(ちょうご)では「長後川」、 下土棚(しもつちだな)では「土棚川」、鵠沼(くげぬま)では「堀川」など、かつては村によって呼称が違っていたようです。
「引地川」という名前で統一されたのは、河川管理が必要となった近代になってからです。

引地川の由来
藤沢市内に建つ「引地川由来」の銘板
(藤沢市鵠沼神明)2002年撮影
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「引地川」の正式名称

「引地川」の読み方ですが、「ひきち」「ひきぢ」「ひきじ」と読まれています。「川」の部分は殆どが「がわ」と濁音で読まれます。
引地川には上流から河口まで約80本以上の橋が架けられていますが、橋の銘板に記されている名称が統一していません。上流では「ひきち」、下流では「ひきじ」と読むのが一般的なようです。
近年、河川の行政管理にともない引地川の読み方が統一され、公的には「ひきじがわ」と読みます。

草柳3号橋の銘板
草柳三号橋にかかる銘板「ひきちがわ」
(大和市草柳・草柳自治会館前)

「引地川」の水源

引地川の水源は、大和市上草柳の谷戸(国道246号線笹山(篠山)高架橋付近)を水源としています。
水源は、付近の森林より谷戸の地下へと流れ、自然湧水として「大池」「小池」の調整池を経て、引地川に流れ込んでいます。
戦後昭和20年代までは大和も主な産業が農業で、引地川流域ではあちこちで稲作・畑作が行われていました。
昭和30年代に入り、高度成長経済を迎えると、大和の人口は急激に増え、それに伴う上水道の確保が急務となりこの水源地に「上草柳浄水場」が建設されました。
この浄水場は近年まで上水道として利用されていましたが、水源地の吐水量が年々減少し、やがてはポンプを使わないと揚水できないまでに水量が減り、 平成4年頃に上水道としての運用を休止しています。現在は神奈川県企業庁が管理し、緊急用の上水道として管理されています。
周辺は「泉の森」として公園整備されており、年間16万人の人々が訪れます。

上草柳浄水場
上草柳浄水場
(大和市上草柳)


上草柳浄水場
浄水が引地川を下る

農業用水としての活用

引地川には現在でも農業用水として活用されています。
引地川には現在数カ所の農業用水取水口があり、大和市には「若宮取水口」が残っています。
かつては水の流れをせき止める「堰」(ゲート方式)でしたが、近年改良され、川底より取水しています。
藤沢市に入ると「長後堰」「中村堰」「石川堰」などの堰が残り、周辺の田畑灌漑(かんがい)に利用されています。

若宮取水口
若宮取水口
(川底より取水する方式)


長後堰
長後堰
(ゲートで水をせき止める方式)

・参考文献/資料協力
「引地川パンフレット」(大和市環境部水と緑課発行)

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